理論と実践を繰り返す方式に転換することで、現場に役立つ力をつ けた人材の養成ができると考えたからです。ですから、農協から受け入れ依頼の話しが来たとき、躊躇せず協力すると返答しました。 4月20日にやってきたのはサラリーマン家庭に育ち、酪農に関する知識、技術ともほとんど持たない 女学生でした。府県から北海道に来て、1年間大学で少し学んだだけですからやむを得ないと思いましたが、当初は教えていることの意味が十分伝はらず、本人もこちらもかなり疲れた時期がありました。 しかし、根が素直で、何でも一生懸命やる学生だったので、家族にもすぐに溶け込み、作業も順次身に つけ、大きく成長したと思います。実習の後半には搾乳、ほ乳、牛舎清掃等安心して任せれるようにな りました。また、地域の人との交流も進み、学内に居たのでは経験できない触れあいや繋がりができたように思います。地区の共進会ではディリークイーンにもなり、牛ひきの難しさや楽しさも体験できたと思います。3ヶ月余の実習が終わる頃にはすっかり家族の一員のようになっており、娘が一人増えた ように思ったものでした。これから離れた生活を過ごしていくのですが、繋がりは一生続くものと思っています。
ただ、今回に限らず最近の実習生に思うことは、がむしゃらに食らいついてくる気力や体力が低下し たということです。以前に心臓病を持ちながらも、自分は将来とも酪農現場で働くという強い意志を持っ た女性が来ました。どうしても実習したいというのを断ることも出来ず、一月だけ試験的にと受け入れたことがあります。その女性はどん欲に知識、技術を吸収していきました。今、彼女はヘルパーをやっていますが、その女性のような真剣味が最近は乏しいように思います。
もうすぐ二期生の受け入れが始まります。どんな学生が来るのか不安と期待が入り交じっていますが、 若者らしくはつらつと日々を過ごしてほしいと思っています。
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